呼吸器外科
私たちは呼吸器疾患に対して、これまでの豊富な経験と知識を活かし、最新の外科治療を行っています。また、患者さん一人ひとりの思いや生活に寄り添い、その方にとって最も良い治療を提供できるよう心がけています。
診療科長あいさつ

新井川 弘道Dr. Hiromichi Niikawa
当院は平成28(2016)年4月、「地域医療への貢献」と「その担い手となる医師の育成」を使命として設立されました。令和4(2022)年に初めて医師を世に送り出してから2年を経た令和6(2024)年、私は呼吸器外科科長として着任し、同じ志を抱く仲間とともに診療にあたっています。
現在、診療に携わるスタッフは6名。いずれも外科的治療を要する呼吸器疾患に対し、豊富な臨床経験と手術技術を備えています。患者さんを第一に考える姿勢は揺らぐことなく、そのうえで地域の大学病院として常に最先端の医療を提供すべく努力を重ねています。
困難な疾患に立ち向かうには、地道な臨床研究・基礎研究の積み重ねが不可欠です。当科では多くの外科専攻医・研修医が加わり、生き生きと学びながら診療に貢献しています。活力に満ちたこの環境を礎に、今後もエビデンスに基づく最良の治療を皆さまにお届けし、地域の期待と信頼に応え続けてまいります。
診療方針と特徴
私たちが主に治療の対象としている肺がんは、日本におけるがん死亡原因の第一位です。外科的治療、放射線治療、薬物療法はいずれも日々進歩しており、随時更新される診療ガイドラインを基に、常に最新の知見に基づいた治療を提供できるよう努めています。近年では、手術前に薬物療法を行うなど、手術後に分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬を加えることで再発を抑えられるケースも増え、治療成績のさらなる向上が期待されています。
こうした外科・内科・放射線科が連携する集学的治療を活用して根治を目指す一方、治療そのものが難しい方や治療を望まれない方に対しても、個々の状況に応じた最適な医療を提供することを大切にしています。とくに悪性疾患を抱える患者さんは少なからず不安を感じておられます。私たちはその思いに寄り添い、できるだけ早く診断と治療方針をお示しするとともに、わかりやすく丁寧な説明を心がけ、納得と安心のもとで治療を受けていただけるよう信頼関係を大切にしています。
当科の大きな特徴は、幅広い疾患や患者さんの状態に対応できるよう、多彩な手術技術を有している点です。多くの手術は胸腔鏡による低侵襲手術で行っており、ロボット支援手術(da Vinci)も積極的に導入しています。一方で、進行がんに対する拡大手術や、薬物療法によって切除可能となった肺がんへの対応、肺機能を残すよう工夫した機能温存手術など、より高度で複雑な手術もチーム医療の力を結集して安全に配慮しながら実施しています。 私たちは、すべての患者さんに「その人らしい生活」が少しでも長く続けられるよう、専門性と温かさのある医療を提供してまいります。

主な対象疾患
原発性肺がん | 胸壁・胸膜腫瘍 |
転移性肺腫瘍などの悪性肺腫瘍 | 胸部外傷 |
肺良性腫瘍 | 横隔膜疾患 |
自然気胸など肺嚢胞性疾患 | 気道出血 |
縦隔腫瘍 | 気管支腫瘍 |
胸腔内感染性疾患 | 気道異物 |
診療科の実績
令和6(2024)年
全身麻酔手術件数 | 完全鏡視下 | 187件 | |
---|---|---|---|
胸腔鏡補助下 | 聴診三角 | 4件 | |
前側方 | 5件 | ||
ロボット | 12件 | ||
標準開胸 | 1件 | ||
その他 | 4件 | ||
合 計 | 213件 |
内訳 | 計 | |||
---|---|---|---|---|
原発性肺癌 | 完全鏡視下 | 79件 | 95件 | |
胸腔鏡補助下 | 聴診三角 | 4件 | ||
前側方 | 4件 | |||
ロボット | 7件 | |||
標準開胸 | 1件 | |||
転移 | 16件 | |||
良性 | 5件 | |||
気胸 | 62件 | |||
縦隔腫瘍 | 12件 | |||
胸壁 | 2件 | |||
膿胸 | 7件 | |||
外傷 | 0件 | |||
その他 | 13件 | |||
局所麻酔 | 1件 |
教育内容と特徴
医学部教室名称
外科学第二(呼吸器外科)
研究テーマ
- 呼吸器外科治療に関する臨床研究
- 肺がんに対する基礎研究
- 肺循環や肺移植に関する基礎研究
教育方針
呼吸器疾患に対する外科的治療を中心に、診断、手術適応、手術手技、周術期管理、さらに術後補助療法(アジュバント療法)に至るまで、幅広い教育を行っています。
近年の呼吸器疾患の治療には、外科・内科・放射線科など複数の診療科による「集学的治療」が不可欠です。さらに、リハビリテーションや薬剤部門との密接な連携も重要であり、チーム医療の一員として、他職種と円滑にコミュニケーションを図る能力が求められます。
また、日々の臨床から課題を見出し、それを研究へと発展させる“リサーチマインド”も大切にしており、科学的な視点と柔軟な発想を併せ持つ呼吸器外科医の育成を目指しています。
取得可能な資格
当院の外科専門研修プログラムで修練することで、日本専門医機構による「外科専門医」を取得可能です。
外科専門医取得後は、日本専門医機構および日本呼吸器外科学会の認定する「呼吸器外科専門医」の取得を目指します。その他、日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医・気管支鏡指導医、日本呼吸器学会 呼吸器専門医などの取得も可能です。
志をともにする医師を募集
診療と教育そして研究を実践していくにはまだ人員不足ですので、教員を若干名募集します。詳細は以下のメールアドレスに診療科を明記の上お問い合わせください。また研修医の募集も随時行っております。詳細はトップページの「当院で働きたい方」をご参照ください。
病院代表窓口(総務グループ)
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