肝胆膵外科
肝胆膵外科は、肝臓、胆道(胆嚢、胆管、十二指腸乳頭部)および膵臓疾患の外科的治療を担当しています。腹腔鏡手術およびロボット支援手術を取り入れ、低侵襲手術を心がけております。
診療科長あいさつ
片寄 友Dr. Yu Katayose
肝胆膵は消化器に分類されていますが、消化酵素を分泌し消化を促進したり、インスリンなど各種ホルモンを分泌し血糖のコントロールや消化管運動を制御したり、消化の司令塔と考えても良い重要な臓器です。特に肝臓はグリコ−ゲンの貯蔵、タンパク質の合成、解毒・代謝さらには免疫まで関与する重要な臓器です。また動脈・静脈や門脈さらには胆管などが複雑に絡み合って臓器をつなげているため解剖学的に複雑で、肝胆膵の手術には広い知識と高い技術が必要な分野であります。例えば、膵頭部の腫瘍を切除する膵臓の代表的な膵頭十二指腸切除術は、消化管と胆管および膵管の3つのつなぎ直しが必要であり、高度な縫合技術が必要であります。しかも脈管や胆管は解剖学的なバリエーションが多いため、個々の病態に合わせた適切な術式が求められています。そのため常にCTやMRIなどから得られた画像をもとに詳細にディスカッションをチームで行い、治療方針を決定しております。
また肝胆膵の手術は高侵襲な手術であることが多いですが、腹腔鏡による手術を積極的に取り入れて、より体に優しい低侵襲な手術を積極的に取り入れております。膵臓を中心にロボット支援手術も開始しております。
最近は高齢化が進み、高齢でも手術適応となることが多くなっています。そのため“がん治療支援(緩和)科”と協力し術後の機能低下予防(サルコペニア予防など)のため、手術前に栄養サポート、筋力増強などプレハビリテーションを行い、安全に手術と、手術後の早期回復に努めています。
このように肝胆膵外科は広い知識・高度技術が必要であり、肝胆膵外科学会高度技能専門医および指導医、膵臓学会 指導医、胆道学会 認定指導医、肝臓学会 専門医が、若手医師の指導を行っております。
診療方針と特徴
消化器内科とのカンファランスを踏まえて、ガイドラインの標準治療に則りながら、患者さんの個々の状況も十分考慮し、総合的に治療法を選択します。手術の詳細な術式については、消化器外科との合同カンファランスで最終的に決定しております。
肝胆膵疾患の外科手術は、長時間となることもありますので、「インフォームドコンセント(十分な説明を受けた上での同意)」のもとに治療法にご理解をしていただいて治療方針を決めています。
難治性の肝胆膵疾患では、外科切除ばかりでなく化学療法や放射線治療も適応となる場合もあります。各科と密接な連携をとりながら治療を進めております。また、他院からのセカンドオピニオンも常時受け付けておりますので、ご相談ください。
主な対象疾患
肝疾患 | 肝臓癌(肝細胞癌、肝内胆管癌)、転移性肝腫瘍、肝嚢胞性疾患、肝血管腫、肝内結石症など |
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胆道系疾患 | 胆管癌、胆嚢癌、十二指腸乳頭部癌、胆嚢結石症、総胆管結石、胆嚢炎、先天性胆管拡張症、膵胆管合流異常など |
膵疾患 | 膵癌、膵管内腫瘍(IPMN、MCN)、膵内分泌腫瘍(インスリノーマ、ガストリノーマ)、膵血管腫、慢性膵炎(膵石症)、仮性膵嚢胞など |
脾疾患 | 脾腫瘍、門脈圧亢進症など |
診療科の実績
手術実績
令和3(2021)年 | 令和4(2022)年 | 令和5(2023)年 | |
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術 式 | 手術件数 | 手術件数 | 手術件数 |
膵頭十二指腸切除術 | 27件 | 23件 | 15件 |
膵体尾部切除 | 11(6)件 | 11(2)件 | 14(13)件 (ロボット支援3例) |
膵全摘 | 3件 | 1件 | 3件 |
慢性膵炎 | 1件 | 0件 | 0件 |
肝切除 区域切除以下 | 11件 | 8(3)件 | 14(13)件 |
肝切除 葉切除以上 | 6件 | 7件 | 3件 |
胆嚢癌 | 2件 | 3件 | 3件 |
腹腔鏡下脾摘 | 0件 | 1件 | 3件 |
腹腔鏡下総胆管切石術 | 2件 | 1件 | 0件 |
胆嚢摘出術(消化器外科症例を含む) | 145件 | 176件 | 167件 |
():腹腔鏡手術
教育内容と特徴
医学部教室名称
外科学第一(肝胆膵外科)
研究テーマ
- 肝胆膵疾患の外科治療
- 肝胆膵悪性腫瘍の集学的治療
- 膵・胆道癌の分子生物学的解析
教育方針
肝胆膵疾患を治療するには、消化器全般の知見も必要なため、専門性が高くかつ広い知識のある外科医の育成を目指しております。専門医の定着により本学の使命である地域医療に貢献できると考えております。また、積極的に臨床研究に取り組みながら手術適応や術式の標準化を確立し、常に最新の治療法を見極めながらグローバルに活躍できる外科医の育成を進めます。これまで培った人脈から、肝胆膵疾患のハイボリュームセンターへの手術見学なども可能です。
取得可能な資格
現行制度では日本外科学会指定施設、日本消化器外科学会認定施設、日本胆道学会認定施設、日本腹部救急医学会認定施設となっており、日本外科学会専門医、日本消化器外科学会専門医、日本肝胆膵外科学会高度技能専門医、日本内視鏡外科学会技術認定医、日本腹部救急医学会認定医の取得が可能です。
志をともにする医師を募集
本学は「東北地方の地域医療を支える」という明確な使命を持っています。
この使命に共感し、共に学び共に働くスタッフ(教員、後期研修医)を募集しています。
勤務の詳細については以下のメールアドレスに診療科を明記の上お問い合わせください。
病院代表窓口(総務グループ)
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