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心臓血管外科

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心臓血管外科では、心臓および血管疾患の患者さんに対して、QOL(生活の質)、医療安全、そして術後長期の治療効果にも十分配慮し、最良、最善の外科治療を提供することを心がけております。

診療科長あいさつ

川本 俊輔

川本 俊輔Dr. Shunsuke Kawamoto

本院は平成28(2016)年4月から医学生の教育をも担う大学病院として再出発をしておりますが、これまでと同様に湾岸被災地域の循環器診療に責任を持ち、また若手外科医を育成することも大きな使命であると考えています。

近年の心臓血管疾患の多くは全身の動脈硬化をベースとしたものであり、心臓と末梢の血管の両方に障害を持つ方も多くいます。今回、三学会構成心臓血管外科専門医認定機構 心臓血管外科専門医の加入にともない血管疾患へのこれまで以上にスムーズな対応が可能となりました。これは、本院心臓血管外科の大きな特徴の一つでもあります。
また、高齢化の著しい本邦において、外科治療の際の身体への負担を軽減する低侵襲化が求められておりますが、我々も、手術時間の短縮、出血量の軽減、ステントグラフト治療の実施などに加えて、令和2(2020)年から循環器内科と協働しTAVI(カテーテルを使用した大動脈弁治療)も開始しました。ご高齢の患者さんにもより負担少なく治療を受けていただけるようになっています。

手術成績のさらなる向上を目指し、心臓リハビリテーションも積極的に導入するなど、多職種や多診療科との連携を深め、成熟したチーム医療を提供したいと考えています。

診療方針と特徴

本院の心臓血管外科は、東北厚生年金病院時代の平成13(2001)年に開設され、この地域の心臓血管外科診療を継続的に支えてまいりました。平成29(2017)年10月からは心臓血管外科の専門医も加わり、心臓血管外科では冠動脈バイパス術や弁膜症等の心疾患に加え、胸部・腹部大動脈瘤や、下肢の閉塞性動脈硬化症など、成人の心臓血管疾患全般に対して幅広く治療を行っております。
緊急手術の必要となる不安定狭心症や、急性大動脈解離に対しても可能な限り対応できるように、循環器内科医師、麻酔科医師と連携して万全の体制を取っています。高齢の患者さんや血液透析の患者さんの手術にも対応しており、専属のリハビリテーションスタッフのサポートにより、手術後も日常生活にできるだけ早く戻れるように支援しております。さらに退院後も、長期的な治療効果の維持のため、地域医療施設と連携しつつ、定期的な外来診療を継続します。

心臓血管外科

主な対象疾患

虚血性心疾患

心臓を養う冠動脈の動脈硬化により狭窄や閉塞を来している狭心症や心筋梗塞の患者さんは、循環器内科でのカテーテル治療が困難な場合には、冠動脈バイパス手術の適応となります。 冠動脈バイパス手術には、人工心肺を用いない方法(オフポンプ手術)と、人工心肺を用いた手術法があります。患者さんの状態に合わせて最も適切な方法を選択します。糖尿病、喫煙など動脈硬化を悪化させる要素をお持ちの患者さんが多くおりますので、手術後も継続的な治療は重要になります。

心臓弁膜症

何らかの原因で心臓弁の機能障害が発生し、心臓の負担が増加していたり、心不全を発症した場合、お薬による内科的治療では限界であることがあります。その際には、外科手術により心臓弁の修理(弁形成術)や取り替え(人工弁置換術)が必要となります。また、心房細動等の不整脈を合併している場合には不整脈手術(メイズ手術)も積極的に行っています。令和2(2020)年からは大動脈弁狭窄症に対するTAVI治療も実施しています。また、令和3(2021)年からMICS(低侵襲心臓手術)にも取り組んでいます。

大動脈疾患
(胸部・腹部大動脈瘤、大動脈解離)

高齢化や動脈硬化の進行により大動脈疾患も増加傾向にあります。多くの場合、大動脈の破裂を来すまでは特に自覚症状もないため、治療の目的は潜在的な(将来的な)破裂の危険性を減らすことであり、予防的手術になります。その一方で、とくに胸部大動脈瘤手術(人工血管置換術)は、根治性は高いのですが、脳をはじめとする臓器保護にも配慮を要し手術手技が複雑となるため、手術死亡率も全国平均で5~10%とリスクの比較的高い手術です。「将来的な破裂の危険性」と「手術による危険性」を天秤にかけ、患者さんにメリットがあると判断される場合には、手術前に十分に準備をして合併症予防に努めつつ手術を行います。 また、胸部大動脈瘤、腹部大動脈瘤の治療として、当科では、低侵襲のステントグラフト内挿術を積極的に行っており、高齢や肺機能低下などの全身状態不良のため、以前であれば手術の適応とならない患者さんでも、ステントグラフト内挿術により治療ができる可能性があります。

末梢動脈疾患

間歇性跛行(歩行時に足がつる状態となり、休むと症状が和らぐ)を引き起こす、閉塞性動脈硬化症に対しても、低侵襲なカテーテル治療(バルーン拡張術・ステント留置術など)を積極的に行っております。カテーテル治療が困難な場合は、従来のバイパス手術を行います。また、血管の病態に合わせて、カテーテル治療とバイパス治療を組み合わせたハイブリッド手術も行っております。患者さんの負担を軽減しながら、安全で確実な治療を提供することで、患者さんのQOLの改善を目指しております。

診療科の実績

手術術式

令和3
(2021)年度
令和4
(2022)年度
令和5
(2023)年度
心臓大血管(JCVSD登録対象)
手術総数
103件 114件 130件
(主な内訳) 心臓弁膜症手術34件52件60件
虚血性心疾患手術30件34件44件
胸部大動脈瘤手術32件23件22件
血管外科(NCD登録対象)
手術総数
73件 97件 132件
(内訳) 腹部大動脈手術34件47件56件
末梢血管手術39件50件76件
デバイス関連(ペースメーカー等)
手術総数
88件 110件 107件

教育内容と特徴

医学部教室名称

心臓血管外科学

研究テーマ

成人心臓血管疾患の長期予後改善を目指した外科治療体系の構築

  • 高齢者の外科治療
  • 透析症例の外科治療
  • 感染症例への外科治療
  • 低侵襲手術
  • 自律神経活動と心臓血管疾患の治療予後

教育方針

成人心臓血管外科に関する診断(手術適応)、手術手技、周術期管理などに関するトレーニングだけでなく、多職種による外科診療チームにおいて的確なリーダーシップを発揮でき、さらには科学的考察能力を備えた外科医を育成することを目指しています。

取得可能な資格

東北医科薬科大学外科専門研修プログラムで修練することで「外科専門医」の取得が可能です。
三学会構成心臓血管外科専門医認定機構による心臓血管外科専門医認定機構認定修練基幹施設となっているので、「心臓血管外科専門医」の取得および、「心臓血管外科修練指導者」資格の取得が可能です。
胸部大動脈瘤および腹部大動脈瘤ステントグラフト実施施設であり、「ステントグラフト実施医」および「ステントグラフト指導医」の取得が可能です。
令和5(2023)年4月には、東北医科薬科大学大学院医学研究科が開設され、本学の大学院による学位取得が可能となりました。現在1名の医師が社会人大学院生として医学博士号の取得と目指しています。

志をともにする医師を募集

本院の心臓血管外科は、1)患者さん(地域医療)のため、2)医学教育のため、そして3)働くスタッフのため、という3つの価値観を大切にしながら、開心術、動脈瘤手術、ステント治療、末梢血管手術と成人心臓血管外科全般の手術に取り組んでいます。
これらの診療を通して、専門医を取得するだけでなく、その次の指導医レベルとなることを目標とした修練を実践しています。やる気のある心臓血管外科医を大歓迎いたします。
詳細は「心臓血管外科 独自Webサイト」をご参照ください。

病院代表窓口(総務グループ)

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