糖尿病代謝内科
糖尿病合併症を進展予防から進んで改善をめざす治療と研究、中でも進行した糖尿病性腎症への取り組みは他の専門医からも高い評価を頂いており、診療レベルは全国屈指です。
優れた糖尿病専門医も育成します。
診療科長あいさつ

澤田 正二郎Dr. Shojiro Sawada
糖尿病は無症状で経過します。治療せずに様子を見ていても10年、15年、平穏に過ごせるかもしれません。しかし様子見を続けたまま健康を維持することはできません。必ずや視力障害や脳梗塞による半身麻痺、といった深刻な合併症が人生を狂わせます。糖尿病の合併症は前触れなくいきなり訪れ、あれよあれよという間に介護される立場になるのです。
東北医科薬科大学病院糖尿病代謝内科では、「糖尿病のある人生とはどんなものか」、「効果的な対策は何か」をわかりやすく説明します。
糖尿病の治療は腹ペコを我慢するものではなく、単にやせれば良くなるものでもありません。インスリン治療は一生続くということもありません。糖尿病の治療の要点は膵臓を元気にすることですが、難しくはありません。がんばって良くするものではないし根性もいりません。膵臓の養生法をマスターすればいいのです。私達の説明を一度お聞きください。必要なのは適切な情報です。
診療方針と特徴
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「糖尿病とは何か」を説明する技術
糖尿病は無症状が続きますが、症状が出始めたらその15分、30分後には体の不自由な人が一人誕生します。糖尿病が見えてくる説明が必要です。
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膵島を守る治療
血糖コントロールの悪化は膵島の機能低下によります。
当科では膵島を大事にすることを第一に考えて治療を進めます。 -
最適な薬の選択
膵島機能を検査により評価して薬を選ぶことにより、最適のお薬で治療できます。
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短期間のインスリン治療で再び内服薬治療を可能に
インスリンを使うと一生・・・ということはありません。
数週間で卒業できる方が多数います。 -
治療困難な糖尿病合併症への積極的な取り組み
治療実績があります。
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糖尿病昏睡等の急性合併症
いつでも対応します。

主な対象疾患
- 糖尿病(1型糖尿病、2型糖尿病)
- 妊娠糖尿病ならびに糖尿病合併妊娠
- 二次性糖尿病(膵性糖尿病など)
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糖尿病の急性合併症
・糖尿病昏睡
・糖尿病性ケトアシドーシス
・高血糖高浸透圧症候群
・乳酸アシドーシス -
糖尿病の慢性合併症
・糖尿病網膜症(眼科と協力)
・糖尿病性腎症
・糖尿病性神経障害 - 糖尿病合併動脈硬化症
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低血糖症
・インスリノーマ
・インスリン自己免疫症候群
・反応性低血糖症
- 先天性糖質代謝異常症
- 肥満(症)
- メタボリックシンドローム
- やせ/神経性食思不振症
- 高脂血症/脂質異常症、家族性高コレステロール血症
- 動脈硬化症
- 高尿酸血症
- ビタミン欠乏症
- 先天性代謝疾患
・ポルフィリン症 - 消化管ホルモン産生腫瘍
診療科の実績
入院患者数 (実数) | 外来患者数 (延べ数・実数) | |
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平成31年/ 令和元年(2019年) | 230人 | 延べ 11,613人 |
令和2(2020)年 | 244人 | 延べ 12,127人 |
令和3(2021)年 | 209人 | 延べ 14,958人 |
顕性糖尿病性腎症の寛解
糖尿病性腎症とくに多量の蛋白尿の出ている糖尿病性腎症3期、あるいは腎不全期に至っている4期からの治療実績です。誤診でないことを確認するために腎生検を施行し糖尿病性腎症であることを確認できている症例は14例、腎生検できていない症例も含めた場合、48.3%で蛋白尿の消失=すなわち寛解に至っています。複数回腎組織検査できた3症例では全員で腎組織像の改善がありました。これまでの報告では、膵移植例でのみ認められたことです。糖尿病の合併症は必ずしも非可逆的ではありません。
短期間強化インスリン療法による耐糖能の改善
糖尿病は通常治らない疾患ととらえられていますが、入院での食事療法に加え1日3回のインスリン治療を数週間行うことにより、ブドウ糖負荷試験による境界型までの改善は頻繁に見られ、さらには正常型まで回復することもあります。
他施設からの報告はほとんどありません。糖尿病患者の耐糖能も必ずしも非可逆的ではありません。
教育内容と特徴
医学部教室名称:内科学第二(糖尿病代謝内科)(糖尿病代謝内科)
研究テーマ
- 糖尿病性腎症の治療法の確立
- 患者に理解される糖尿病教育法
- 短期強化インスリン療法によるインスリン分泌能、耐糖能の改善
- ガングリオシドGM3発現抑制による糖尿病および合併症の改善の検討
教育方針
- 糖尿病代謝分野のあらゆる問題に対処できる臨床能力を獲得できます。
- 尿中C−ペプチド値など臨床データの読み方の習熟による最適薬剤の選択。長期β細胞機能温存を考えたプロの使い分けを体得できます。
- 難治性糖尿病合併症に苦しむ患者へのアプローチ法、患者と家族と医療スタッフが一緒に作る治療チーム編成を実践できます。顕性糖尿病性腎症が寛解できることを実感してください。
取得可能な資格
糖尿病専門医
当科は日本糖尿病学会の教育認定施設Iに認定されています。教育認定施設にはI、II、IIIの3つのカテゴリーがあり、教育認定施設IIおよびIIIの施設では、その施設での研修のみではカリキュラムが不足で、他の施設での研修が求められます。当科は教育認定施設Iに認定されており当院のみで全てのカリキュラムを達成できます。
動脈硬化専門医
当科における研修により日本動脈硬化学会認定動脈硬化専門医の受験資格を得ることができます。
内科専門医
当科と他の内科系診療科との連携により、内科専門医受験に必須のカリキュラムを達成できます。
志をともにする医師を募集
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糖尿病専門医をめざす内科専攻医募集中です。当科での研修により糖尿病性昏睡等の急性期治療、外科での術前血糖管理、糖尿病妊婦の血糖管理に熟達することができます。
強調したいのは単なる専門医ではなく、インスリン使いの名手、食事療法指導のプロとなれることです。私達のチームの卒業生の技術の高さがそれを証明しています。 -
治療困難とされる糖尿病合併症の治療法の開発が臨床研究のテーマです。
困難にチャレンジする若者を求めています。
病院代表窓口(総務グループ)
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