循環器内科
一瞬たりとも動きを止めることが許されない臓器、心臓。当科では、その心臓の重症な病気に対し、高度な診断技術と先進的治療法を用いて診療にあたってまいりました。さらに、患者さん一人一人の社会背景にも配慮したきめ細かな医療の提供をめざします。
診療科長あいさつ
熊谷 浩司Dr.Koji Kumagai
本院は、平成28(2016)年に医学部が設置され東北医科薬科大学病院となりました。その内科学第一(循環器内科)初代教授の小丸達也先生に次ぐ第2代教授として令和5(2023)年4月1日より着任いたしました。当教室では、臨床、教育、研究において誠実に取り組み、教室の発展、人材の育成、地域医療へ貢献に努めていきたいと思います。
心臓病は、生活習慣病や動脈硬化など、年余に及ぶ病理的変化の進行の末に発症することが多く、発症そのものは急激で時に致命的となります。高齢化とともに、その頻度・重症度は高まっているといわざるを得ません。強い胸痛を症状の特徴とする心筋梗塞・狭心症、進行した心筋機能の低下によって生ずるポンプ機能失調としての心不全、時に失神を引き起こす心臓のリズム異常としての不整脈、そのいずれをとっても、待ったなしの対応を迫られます。
私たち循環器内科スタッフは、このような循環器疾患の特殊性に対応するため、一年365日24時間体制で対応できる体制を築いてきました。急性期の治療を適切に行えるよう、心臓血管外科との連携を深め、看護部門、中央診療部門(臨床工学部、放射線部、検査部)など他のメディカルスタッフとの協力体制も充実させています。
そして高度な治療を駆使して急性期を乗り切ったのちに、患者さんがしっかり社会復帰をはたせるよう、また、再発を繰り返さないよう、長期予後改善に取り組んでおります。近隣の先生方との医療連携も大切にしながら、循環器疾患の地域医療を担うべく努めてまいりますので、よろしくお願いいたします。
診療方針と特徴
虚血性心疾患
心疾患の中でも緊急を要する急性冠症候群に対しては夜間・休日を含め24時間体制で緊急カテーテル治療が可能な体制を確立しています。より速い血行再建がより良い予後に直結しますので、今後ともこの体制は堅持してまいります。急性冠症候群を引き起こす不安定プラークの同定は、冠動脈イベントを減らす上で大変重要であり、血管内イメージングを用いて診断(IVUS、OCT、NIRS)精度の向上をはかっております。
不整脈
近年、不整脈に対するカテーテル治療(アブレーション)が盛んになされるようになってまいりましたが、当科でも平成31(2019)年からこの分野に力を入れ、急速に充実が図られています。令和5(2023)年3月にはアブレーション総治療数が1,000例を超えました。特に約7割の症例数を占める心房細動に対しては、高周波アブレーションの他、クライオやレーザーやホットバルーンなどのバルーンアブレーションも使用しております。持続性心房細動は、心房細動基質を多角的に評価しながら治療しております。心室性不整脈に対しても心内・心外膜アブレーションや植え込み型除細動器により治療を行っております。徐脈性不整脈に対しては、ペースメーカ、リードレスペースメーカといったデバイス治療を行っております。左心耳閉鎖システムも始まります。薬物治療とあわせ、不整脈に対し多角的に対応することが可能となっています。
心不全
冠動脈疾患や弁膜症、心筋症、心膜疾患といった様々な心疾患の終末像としての心不全が高齢化とともに今後急速に増加することが予想されていますが、私たちは、薬物療法、心臓再同期療法などのデバイス治療、カテーテル治療など多角的方法を駆使して治療する一方で、心臓血管外科との緊密な連携を図りながら、手術適応のある患者さんにはタイミングを逃さずに外科的治療にシームレスに移行するなど、患者さん一人一人にとって最善の治療を追及することを旨としております。特に、令和2(2020)年からは主に高齢の大動脈弁狭窄症の患者さんを対象として、より侵襲の低いカテーテルによる大動脈弁置換術(TAVI)を心臓血管外科と共同して施行し、実績を重ねています。
このように、当科ではあらゆる循環器疾患を対象に、医学・医療の進歩を取り入れつつ、より効果的で先進的な治療を患者さん一人一人に届くようスタッフ一丸となって取り組んでいるところです。
主な対象疾患
急性心筋梗塞 | 狭心症 |
心不全 | 頻脈性不整脈 (心房細動、上室性頻拍症、心室頻拍症・心室細動など) |
徐脈性不整脈 (洞不全症候群、房室ブロックなど) | 下肢閉塞性動脈硬化症 |
深部静脈血栓症 | 肺塞栓 |
肺動脈性肺高血圧症 | 心臓弁膜症 |
感染性心膜炎 | 拡張型心筋症 |
肥大型心筋症 | 心筋炎 |
その他各種心筋疾患 | 心膜疾患 |
など
あらゆる心疾患に対応しております。
診療科の実績
検査・治療の実績 令和5(2023)年度
検査名・施術名 | 件 数 |
---|---|
急性心筋梗塞患者数 | 69例 |
冠動脈造影検査(CAG) | 290例 |
緊急冠動脈 インターベンション(PCI) | 60例 |
待機的冠動脈 インターベンション(PCI) | 66例 |
経カテーテル的 大動脈弁植え込み術(TAVI) | 21例 |
末梢血管形成術(EVT) | 8例 |
カテーテルアブレーション | 223例(2023年) |
ペースメーカ植込み(新規) | 48例 |
植込み型除細動器(経静脈、皮下)・ 両室ペーシング | 12例 |
心筋シンチグラム | 353例 |
経胸壁心臓超音波検査 | 9,377例 |
経食道心臓超音波検査 | 147例 |
冠動脈CT | 668例 |
心臓MRI | 130例 |
教育内容と特徴
医学部教室名称
内科学第一(循環器内科)
研究テーマ
- 不整脈の診断と治療
- 虚血性心疾患の診断と治療
- 心不全の診断と治療
教育方針
卒前教育では講義による循環器疾患についての幅広い知識の獲得と、臨床実習によるスキルを身に着けることはもちろんのこと、生命の厳かさに思いをいたし、患者さんの思いに耳を傾けられる、コミュニケーション能力の高い医師の養成をめざします。卒後教育では、さらなる知識とスキルの獲得に加え、医療人としてのプロフェッショナルな意識をもって、チーム医療の重要性を認識し、そのリーダーとしての自覚を持てるよう教育していきます。また、本学に大学院が令和5(2023)年に設立され、学位取得が可能となりました。
取得可能な資格
診療面では、「主な対象疾患」に示しました疾患を対象に多彩な診療を実践しております。従来の専門医制度はもちろんのこと、新専門医制度がスタートした後も、専門医取得が十分可能な体制となっております。取得可能な専門医としては、以下の専門医の取得が可能です。
- 日本循環器学会 循環器専門医
- 日本心血管インターベンション治療学会 CVIT専門医
- 日本不整脈心電学会 不整脈専門医
- 日本高血圧学会 高血圧専門医
- 日本超音波医学会 超音波専門医
志をともにする医師を募集
住民が安心できる地域医療の提供は本学の設立のミッションの柱になっています。24時間体制での循環器救急対応と長期予後改善の取り組みはその核心ともいえるものです。共に診療し、若い医師を育てる意義深い仕事をする仲間(教員・研修医)を募集します。
詳細は「当院で働きたい方」をご参照ください。
病院代表窓口(総務グループ)
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