リハビリテーション科
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当科では「地域リハビリテーション」の考えを重要視し、また地域でのリハビリテーションを先進的なものにすることを使命と考え診療、教育、研究に取り組んでいます。
「地域リハビリテーション」とは、障害のある人々や高齢者およびその家族が、住み慣れたところで、そこに住む人々とともに、一生安全に、いきいきとした生活が送れるよう、医療や保健、福祉及び生活にかかわるあらゆる人々や機関・組織が協力し合って行う活動の全てを指します。
診療科長あいさつ
伊藤 修Dr. Osamu Ito
東北医科薬科大学病院リハビリテーション科の歴史は、昭和57(1982)年に増設された東北厚生年金病院理学診療科に始まります。
昭和57(1982)年は当院が東北厚生年金病院に改称し現在地に移転した年で、それ以後当科は仙塩地区のリハビリテーション医療の一翼を担って参りました。
リハビリテーションとは病気やケガの発生時から社会復帰までを支援するプロセスで、我々は医師、看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、医療相談員で構成されるチームでそのプロセスに取り組んでいます。
今後も超高齢化が進む地域におけるリハビリテーション医療の益々の充実と、予防から社会復帰まで各種疾病に対応できる総合診療医の育成に少しでも貢献できるよう努力して参ります。
診療方針と特徴
リハビリテーション科では、医師の診察・評価に基づく処方の下に適切な理学、作業、言語聴覚療法を行っています。当院はリハビリテーション科外来および訓練室あわせて充分な診療スペースを有し、脳血管疾患等リハビリテーション(I)、運動器リハビリテーション(I)、心大血管疾患リハビリテーション(I)、呼吸器リハビリテーション(I)、がんのリハビリテーションの施設基準を取得しており、次の疾患・病態を扱っています。
- 脳卒中・脳外傷のリハビリテーション
- 脊髄損傷・脊髄疾患のリハビリテーション
- 関節リウマチ・骨関節疾患のリハビリテーション
- 脳性麻痺・小児疾患のリハビリテーション
- 神経・筋疾患のリハビリテーション
- 切断のリハビリテーション
- 内科疾患のリハビリテーション
- がんのリハビリテーション
主な対象疾患
リハビリテーション科の代表的な対象疾患は、脳卒中・脳腫瘍・脳外傷・認知症などの脳疾患、脊髄損傷・脊髄腫瘍・脊椎変形に伴う脊髄症などの脊髄疾患、パーキンソン病・脊髄小脳変性症・多発性硬化症などの神経変性疾患、関節リウマチ・変形性関節症・変形性脊椎症・骨折・スポーツ外傷・腰痛症・四肢の切断などの骨関節疾患、ギランバレー症候群・筋ジストロフィー症・顔面神経麻痺・末梢神経損傷などの神経筋疾患、脳性麻痺・発達遅滞などの小児疾患、悪性腫瘍・胸腹部外科手術・全身性疾患などによる長期臥床に伴う体力低下や運動機能低下などです。
また、糖尿病・肥満・心筋梗塞・慢性呼吸不全などの内科的疾患もリハビリテーション科の対象疾患です。
当科では、各種疾患・病態の急性期・回復期・維持期(生活期)のリハビリテーション治療を行っています。継続的なリハビリテーションだけではなく、外来や短期入院にて種々の問題に焦点を当てたリハビリテーションの充実も心がけており、以下のリハビリテーションプログラムを整備しています。
- (1)重症疾患リハビリテーション
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昨今のリハビリテーションの現場では、重症な患者さんや疾患が重なる患者さんが充分なリハビリテーション医療を受けることができない、地域のリハビリテーション病院では介入が困難なケースが増えている現状があります。
当科では、先進的な総合病院として重症患者さんへも積極的なリハビリテーションを提供しています。
- 重度の循環器・呼吸器・腎臓疾患に対して、治療効果や生活の質を高めるためのリハビリテーションの提供が可能です。
- 集中治療室(ICU)での鎮静状態などで随意運動が困難な患者さんへも、予後を改善する目的でのリハビリテーションの提供が可能です。
- 整形外科手術後に積極的なリハビリテーションが困難な患者さんや起立性低血圧で起立できない患者さんへも、筋力・体力向上を目的としたリハビリテーションの提供が可能です。
- 意識障害や強い疼痛により体が動かせない患者さんへのリハビリテーションの提供が可能です。
- 長期の治療により体力の低下を招き、起立歩行困難になった患者さんへのリハビリテーションの提供が可能です。
- (2)内部障害(心臓疾患・呼吸器疾患・腎臓疾患)リハビリテーション
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当科は各種内科疾患に対する包括的リハビリテーションを積極的に行っている国内でも数少ない施設です。
内部障害とは世界保健機関(WHO)により提唱された国際障害分類試案の機能障害の一つに属し、心臓、呼吸、腎尿路、消化など内部機能障害の総称と定義されています。
心疾患、呼吸器疾患に対するリハビリテーションはすでに歴史がありその有効性も明らかになっています。最近では腎臓機能障害に対しても運動療法が有効であるとする報告が出されています。また、生活習慣病である高血圧、糖尿病、高脂血症に対しても運動療法の有効性が示されております。現在では、これらの疾患は生活習慣病として、運動を含めて総合的に治療するようになっています。今後も、内部障害のリハビリテーションの重要性はますます高まると思われます。また、内科疾患患者で身体障害を合併する者が激増しており、「日常生活動作の自立と社会復帰」、「要介護の軽減」のためのリハビリの必要性が重要視されています。
- 「心臓リハビリテーション」とは、心臓病の患者さんが、低下した体力を回復し、精神的な自信を取り戻して、社会や職場に復帰し、さらに心臓病の再発を予防し、快適で質の良い生活を維持することをめざして、運動療法、患者教育、生活指導、カウンセリングなどの包括的な医療です。
- 「呼吸リハビリテーション」とは、病気や外傷によって呼吸器に障害が生じた患者さんに対して、可能な限り機能を回復し、あるいは維持することによって、症状を改善し、患者さん自身が自立した日常や社会生活を送れるように継続的に支援する医療です。
- 「腎臓リハビリテーション」とは、腎臓疾患や透析医療に基づく身体的・精神的影響を軽減させ、症状を調整し、生命予後を改善し、心理社会的ならびに職業的な状況を改善することを目的として、運動療法、食事療法と水分管理、薬物療法、教育、精神・ 心理的サポートなどを行う、長期にわたる包括的な医療です。
- (3)障害者健診・診断書支援外来
- 国民年金障害状態確認や精神障害者保健福祉手帳用診断書等の作成が可能です。
- (4)義肢装具外来
- 回復期・維持期(生活期)の義肢装具療法も積極的に行っています。
- (5)摂食嚥下機能リハビリテーション
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加齢および疾患等により摂食嚥下機能の低下が疑われる患者さんに対して、嚥下機能の評価と誤嚥性肺炎のリスクを下げる目的の食事・栄養指導を行うためのプログラムです。
診療科の実績
入院・外来患者状況
令和4(2022)年度
脳卒中・脳外傷のリハビリテーション | 35件 |
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脊髄損傷・脊髄疾患の リハビリテーション | 2件 |
骨関節・関節リウマチの リハビリテーション | 50件 |
神経・筋疾患のリハビリテーション | 4件 |
切断のリハビリテーション | 4件 |
心臓・呼吸疾患のリハビリテーション | 120件 |
廃用症候群のリハビリテーション | 22件 |
教育内容と特徴
医学部教室名称
リハビリテーション学
研究テーマ
- 虚血性心疾患および心不全のリハビリテーション効果の検討
- 呼吸器疾患に対する包括的リハビリテーション効果の検討
- 腎臓疾患に対する包括的リハビリテーション効果の検討
- がんに対する運動負荷の効果に関する研究
- 超急性期・ICUでのリハビリテーション効果の検討
- 嚥下機能障害に対する院内システムの構築
教育方針
医学教育においては、1・2年生の早期医療体験実習、チーム医療体験実習や介護・在宅医療体験学習、3年生から始まる全身管理学、整形外科学等の系統講義内で病態生理学、栄養代謝学、障害学、リハビリテーション医学等に関する講義を担当します。
また、4年生から始まる臨床実習においては、リハビリテーション学の基礎と実践を担当します。さらに、大学院教育を視野に入れた基礎的な研究指導体制も整えています。本学の大学院による学位取得を可能とします。
取得可能な資格
診療面では、上記に記すような疾患を対象とし、診療方針と特徴に記すような多彩な診療を実践しています。新専門医制度のリハビリテーション科専門医を取得可能な研修プログラムを調整中です。
志をともにする医師を募集
リハビリテーション科では、当院が地域に密着した総合病院であることから急性期から維持期(生活期)まで様々なリハビリテーションの研修が可能です。
随時、全国の医学生1~6年生・研修医の皆さん、内科、外科、小児科、整形外科等からの転科をお考えの先生方の見学・実習を受け付けています。詳細は以下のメールアドレスに診療科を明記の上お問い合わせください。
病院代表窓口(総務グループ)
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