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産婦人科

特色・取り組み

婦人科良性疾患では、手術を行う前に必要な検査のほとんどを外来で受けていただきます。血液検査、超音波検査、MRI検査などがあります。また、常勤医師の2名は生殖医療専門医師であり、他の施設であまり行われていない子宮鏡検査、子宮卵管造影検査も積極的に行い、精確な診断、および適切な治療方針の選択に活用させていただきます。
子宮鏡検査は使用件数が増加したため、2台を備えており子宮内膜ポリープ・粘膜下筋腫などの診断に威力を発揮しております。
手術は、開腹手術、腹腔鏡下手術、子宮鏡下手術、腟式手術に大別されます。どのような方法で手術を行うか、術前にホルモン療法を行うかなどよく相談しながら診療を進めてまいります。
治療手技では、卵管鏡下卵管形成手術、マイクロ波子宮内膜焼灼術などを行うことも可能な状況です。
可能な範囲ではありますが、患者さんが効率的に診療、検査を受けていただけますように努力いたします。

子宮鏡検査

子宮の中に細い内視鏡を挿入して、子宮体部内腔の状態を観察します。粘膜下筋腫 、子宮内膜ポリープなどの診断に有用です。

子宮卵管造影検査

検査は外来放射線部でX線の透視下に行います。子宮の中に造影剤を注入して、卵管が疎通しているかどうかを調べます。
子宮筋腫や子宮内膜ポリープ子宮内癒着などによる子宮体部内腔の異常を調べる場合もあります。

内視鏡下手術

婦人科領域の代表的な内視鏡下手術には腹腔鏡下手術と子宮鏡下手術があります。どちらの手術も目的とする臓器に直接触れずに特有の器具を使用してビデオテレビ画面を見ながら行う手術です。通常、腹腔鏡下手術はお腹に3-4カ所の小さな切開をおいて行います。子宮鏡下手術はお腹に傷をつけることなく腟の方から子宮の中に器具を入れて行う手術です。いずれも開腹手術に比較して傷は小さく(あるいはない)、いくつもの利点があります。

私は10年前まで他の施設で腹腔鏡下手術2000件以上、子宮鏡下手術約400件に立ち会ってまいりました。また、当院に赴任してからの過去10年強の実績では、腹腔鏡下手術は3000件、子宮鏡下手術は1150件を数えております。今後もこれまでの経験を活かし、内視鏡下手術を中心に婦人科良性疾患の手術に特に力をいれていきたいと考えております。

当院には仙台市内のほか、仙台市以外からも多数の患者さんをご紹介いただいております。現時点では1ヶ月当りの手術件数は30件強であるため、対象となる疾患・術式によっては2-5ヶ月の手術待ち時間をいただく場合もございますが、極力、手術までの待ち時間を少なくするように努力してまいります。

手術件数の年次推移

腹腔鏡下手術と子宮鏡下手術の重複例があります

>> 内視鏡手術詳細

卵巣腫瘍

卵巣は子宮の両側に1つずつあり、正常では親指の頭位の(約2-3cm)大きさです。無症状でも卵巣腫瘍の大きさが5cm以上の場合、茎捻転や破裂が起こりやすくなるとされているため、手術を考慮することが多いといえます。

そして、術前診断が良性であれば、可能であれば腹腔鏡下手術を第1選択としています。卵巣腫瘍の手術術式には①腫瘍を含めて卵巣全部(卵管も同時に摘出することも多い)を摘出する方法(卵巣切除、あるは卵巣、卵管切除)と②腫瘍のみを正常卵巣からくり抜くように摘出する方法(卵巣腫瘍核出術)があります。

どちらの術式を選択するかは年齢、腫瘍の大きさなどを総合的に判断して決定します。早めの手術が望ましい大きい卵巣腫瘍などは、手術までの待ち時間を少なくなるように努力、ご相談いたします。

腹腔鏡下卵巣腫瘍手術について(PDF261kb)

子宮筋腫

子宮筋腫を手術で治療する場合、①子宮を全摘する方法、②子宮筋腫のみを摘出する方法(筋腫核出術)があります。子宮を全摘するアプローチ法にはa)開腹手術b)腟式手術c)腹腔鏡下手術があります。子宮筋腫のみを摘出するアプローチ法にはa) 開腹手術b) 腹腔鏡下手術c)子宮鏡下手術があります。

当院では侵襲の少ない医療を提供するために、①子宮全摘をお考えの場合には、腹腔鏡下手術を、②子宮筋腫のみの摘出を考えておられる場合には腹腔鏡下手術、あるいは子宮鏡下手術で行うことが可能かどうかも十分に検討してご相談したいと考えております。

また、手術をお考えの場合、筋腫の縮小を図るために手術前に偽閉経療法(薬で女性ホルモンの働きを抑えることにより筋腫の縮小を期待する)を行うことについてもご相談する場合がございます。その結果、開腹手術の適応であった患者さんにより侵襲の少ない手術が可能となる場合もあると考えられます。

子宮筋腫核出(摘出)術における術式:アプローチ(重複あり)

 腹腔鏡腹腔鏡補助開腹子宮鏡腟式
2010年2933240
2011年5600440
2012年9222820
2013年9423530
2014年10623550
2015年10505700
2016年12104670
2017年103019611
2018年9204571
2019年9042480
合計88813455612

腹腔鏡下筋腫核出術と子宮鏡下筋腫核出術を同一日に行っている患者さん(重複例)もいらっしゃいます。

子宮良性疾患に対する術式

 腹腔鏡下腟式
子宮全摘
開腹
子宮全摘
腟式
子宮全摘
開腹手術へ
移行
2010年44310
2011年62201
2012年59600
2013年64502
2014年57400
2015年84201
2016年97000
2017年75100
2018年90802
2019年78301
合計7103417
子宮内膜症

月経困難症、子宮内膜症も増加してきている疾患の1つです。治療は経過観察、薬物療法(低用量ピル、子宮内膜症治療薬)、手術療法など多岐にわたります。どの治療も再発が少なくないため、患者さんの置かれている状況を含めて治療をオーダーメードで行うことが特に重要です。最新の知見を元に患者さんと十分相談の上、治療方針を決定したいと考えております。また、当院では通常の婦人科診察に加えて、アンケート形式で痛みの程度を2種類の評価方法で分析し、治療方法の選択に活用しております。手術療法では腹腔鏡下手術を中心に治療を行っております。

子宮内膜症の腹腔鏡下子宮内膜症手術について(PDF136kb)

不妊症

常勤医師の2名は生殖医療専門医師であり、不妊診療の経験が豊富です。妊娠を考えている方、現在妊娠成立を目指しているもののまだ妊娠に至らない方に対して診療を行っています。外来ではホルモン検査、子宮卵管造影検査、タイミング指導、排卵誘発などの不妊一般診療を中心として自然妊娠を目指します。子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮内膜症などの所見を認める場合、妊娠成立の可能性を高めるために腹腔鏡・子宮鏡下手術をお勧めすることもあります。

一方、男性因子の検索(精液検査など)や体外受精などの生殖補助医療は現在取り扱っておりません。生殖医療を専門とする施設をご紹介します。

異所性妊娠(子宮外妊娠)

妊娠初期で子宮の中に胎嚢が見えない場合、異所性妊娠(子宮外妊娠)の可能性を考慮する必要があります。具体的には血液のホルモン値(hCG;human chorionic gonadotropin)の絶対値と変化率、超音波画像所見、臨床症状などを総合して判断します。当院では異所性妊娠(子宮外妊娠)の診断と治療に精通した医師が、正常妊娠の可能性も考慮しながら、慎重に手術療法、薬物療法、待機療法などの治療法を説明しながら対応していきます。

異所性妊娠(子宮外妊娠)の腹腔鏡下保存手術などについて(PDF236kb)

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