検査部 三浦りり佳 主任臨床検査技師の論文が国際誌「Laboratory Medicine International」に掲載されました
2025.12.25
検査部職員が行なっている研究が日本臨床検査医学会が刊行する国際誌『Laboratory Medicine International』に掲載されました。
論文タイトル・著者・掲載誌
論文タイトル
Effects of Assigning a Risk Manager in the Clinical Laboratory on the Management of Critical Values at Tohoku Medical and Pharmaceutical University Hospital
日本語訳:東北医科薬科大学病院における臨床検査部門へのリスクマネージャー配置がクリティカルバリュー管理に及ぼす影響
著者
Ririka Miura, Rikei Kozakai, Yasuhiro Endo and Shinichiro Takahashi
掲載誌
Laboratory Medicine International; 4(4): 125-131
DOI:
https://doi.org/10.51041/lmi.4.4_125
研究内容
東北医科薬科大学病院検査部では、クリティカルバリュー(緊急対応を要する検査値)に対する管理体制を強化するため、2024年12月より臨床検査技師をリスクマネージャーとして配置しました。本取り組みの効果を検証するため、2018年から2025年までの検査データを解析した結果、リスクマネージャー配置後、検査医が主治医へ直接確認を行う電話連絡の割合が有意に増加しました。これは、単なる報告体制の変更ではなく、重要検査結果に対する専門的な再確認と介入が実際に強化されたことを示す成果と考えられます。実際に、重度血小板減少やM蛋白疑い症例などにおいて、検査医からの確認連絡が診断・治療につながった事例も認められました。これらの結果から、リスクマネージャーを介したクリティカルバリューの共有は、検査部門における医療安全の「最終的な安全弁」として機能する可能性が示唆されました。なお、当検査部では、2019年から国際規格ISO 15189 に基づく品質管理体制を整備しています。ISO 15189は、インシデント件数の減少と関連していることが示されていますが(1)、当院でも、導入後有意にインシデント件数が減少し、特に夜間・休日勤務における安全性向上に結びついていることを報告してきました(2)。今回の成果は、その基盤の上に構築された、より実践的かつ能動的な医療安全の取り組みと位置づけられます。検査部は今後も、医療安全部門および診療科と連携し、クリティカルバリュー管理を通じた患者安全の向上に取り組んでまいります。
文献
- R Miura, R Kozakai and S Takahashi, The effect of ISO 15189 implementation for the reduction of incidents, Laboratory Medicine International, 2024, 3(2), p26-27.
- R Miura, R Kozakai, S Suzuki and S Takahashi, Analysis of Incident/Accident Reports in the Clinical Laboratory Department at Tohoku Medical and Pharmaceutical University Hospital: Effect of ISO 15189 Implementation on Medical Safety, Laboratory Medicine International, 2024, 3(1), p8-14.
