センターについて
東北医科薬科大学病院救急センターは、医師・診療看護師・看護師・放射線技師・検査技師・薬剤師・事務職員らの多職種の力を結集して、最善の救命救急医療を患者さんに提供します。
救急センターを舞台として、救急科のみならずあらゆる診療科の医師が集まり、重篤な患者さんの診断と治療に努めます。
将来の医療を担う医学生や初期研修医は、指導医の直接指導のもとで積極的に診療に参加し、救命のために必要な知識・手技とチーム医療を学び、大きく成長する場となります。
2024年度からは新たに「東北医科薬科大学病院救急科専門研修プログラム」に当学1期生の専攻医が2名入り、救急科専門研修を開始しています。
<私たちの使命>
- 『歩いて救急外来を受診』する患者さんから『心停止、原因不明の意識障害、ショック、呼吸不全、敗血症、外傷、中毒、アナフィラキシー』などで救急搬送される重症の患者さんまで、幅広く初期診療・救命医療を行います。
- 老若男女を問わず、軽症から重症まで地域の救急医療ニーズに応え診療します。
- 救命に必要な処置は、時期を失せず救急外来で迅速に開始します。
- 他科の専門医や他の職種との連携と調和を図りつつ、目の前の患者にとって最適な救命救急医療を実践します。
- 災害時に多数傷病者診療(トリアージとその後の診療)を行います。
- 病院前救急医療の担い手である救急救命士・救急隊員と協調し、メディカルコントロールのもとで彼らの指導と助言を行います。
- 医学生、初期臨床研修医、専攻医らが、救急・総合診療を修練する場となります。
救急患者数
救急車の応需状況は、昨年度初めて4000件を超え、過去最高になりました。
救急科の入院患者
救急科の年間入院患者数は、2016年の救急科開設以降徐々に増加しており、2023年度が350人/年、そのうちICU患者数が65人でした。
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診療の範囲
救急科では、内因性・外因性によらず、あらゆる重症病態において人工呼吸器やECMOなどの生命維持装置を要する重症患者さんの集学的治療を担当します。重症呼吸不全に対する呼吸ECMO、心原性ショックや難治性心停止に対する循環ECMO、血液透析、人工呼吸器など、救急医がリーダーとなり、多職種連携のもとで安定化に努めます。
特に敗血症性ショック、心原性ショック、心停止蘇生後脳症、急性呼吸窮迫症候群、多臓器不全の診療を得意としています。
外傷患者や中毒患者も増加しており、関連する診療科(脳神経外科、整形外科、外科、放射線科、精神科など)と連携して診療しています。 -
循環不全
対応循環不全治療では、難治性心停止に対するVA-ECMO導入(E-CPR)や、急性心筋梗塞からの心原性ショックでVA-ECMO、IABP、人工呼吸、血液透析、頸静脈ペーシング、スワンガンツカテーテルモニタリングなどを行っている患者さんも、多職種連携のもと救急科主治医で集学的治療を行っています。
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COVID-19
対応新型コロナウィルス感染症の重症患者受入れ病院であり、ICU入室が必要なCOVID-19患者は救急科が主治医となり診療を行ってきました。 最新のエビデンスに基づき、挿管・人工呼吸マニュアル、腹臥位療法マニュアル、呼吸ECMOマニュアル、自己腹臥位マニュアル、心停止対応マニュアルなどを整備し、柔軟に重症COVID-19に向き合ってきました。 2020年~2023年の間に重症COVID-19肺炎5例に呼吸ECMOを実施し、4例全員が生存退院されました。
今後は、より多くの救急車を応需し、より多くの重症患者さんを救命できるように、病院として対策を取っていく予定です。
メッセージ
遠藤 智之Dr. Tomoyuki Endo
救急センター センター長
平成28(2016)年10月5日に、旧検診センターエリアを改修し「救急センター」を開設し、地域の救急医療需要に対応するべく救急診療を拡充してきました。病院規模の拡大に合わせて救急医療の質と量の向上に努め、救命救急医療の一層の充実を図ってまいりました。
コロナ禍では救急応需件数が停滞していましたが、令和4(2022)年以降は右肩上がりに応需件数が増加しています。令和6(2024)年3月には救急センター拡張工事が完了し、中等症~重症を診察するためのベッドが2床増床され、一度に診療できる患者数が増えたことによって救急応需件数の増加を見込んでいます。
救急センター内には重症用ベッド4床、観察用ベッド2床、診察ブース4室(平日は3室を総合診療科外来として利用)、点滴用ベッド3床などを集約的に配置し、ECMOを含めた救命救急のための最新の医療機器も常備しています。最新の超音波装置を2台配置し、CT室やMRI室へのアクセスは良好で、迅速な画像検査を行うことができます。
救急センターは24時間365日救急患者を応需しており(停電等の特殊な場合を除く)、救急車で搬送される患者さんはもちろんのこと、自ら来院される救急患者さんも、重症度によらず救急センターを入口として初期診療を行い、この場所を起点として全診療科が協力し治療にあたります。
救急センター専属の看護スタッフが、重症度判定(トリアージ)、処置・診療、そしてご家族のケアを行います。
また、救急センターは初期研修医や医療系学生(医学生、看護学生、救命士課程実習生など)が救急医療について学ぶ場所でもあり、将来の医療を担う若手の人たちが指導医のもとで日々修練しています。
今後も当センターの機能を充実させながら、救急・総合診療の教育研修病院として、地域の救急医療に貢献できるよう質の向上を図ってまいります。